防災用のモバイルバッテリーは、普段使いとは少し違うポイントで選ぶ必要があります。
この記事では、次の3つのテーマに沿って、わかりやすく解説していきます。
- 防災用としてモバイルバッテリーを選ぶときのチェックポイント
- 停電・避難所・車中泊など、災害時に本当に役立つ機能
- 防災リュックに入れておきたい「おすすめ5タイプ」
防災用としてモバイルバッテリーを選ぶときのチェックポイント
① 容量の目安と家族構成ごとの考え方
■ 容量ごとのおおよその目安
- 10,000mAh前後 … 約2〜3回分(スマホのフル充電)
- 20,000mAh前後 … 約4〜5回分(スマホのフル充電)
家族構成別のおすすめ構成
- 1人暮らし:10,000mAhクラスを1台
- 2〜3人家族:10,000mAh × 2台、または 20,000mAh × 1台+10,000mAh × 1台
- 4人家族以上:20,000mAh × 1〜2台+10,000mAh数台の組み合わせ
大容量1台にまとめるより、複数台に分けるほうが安心です。避難時に別行動になっても、それぞれが1台ずつ持てるようにしておくと心強くなります。
② 安全性:PSEマークと保護回路は必須
防災用として長期保管するモバイルバッテリーは、まず安全性を最優先に考えましょう。
- 日本の電気用品安全法に適合しているPSEマーク付き
- 過充電保護・過放電保護・ショート保護などの保護回路
- 実績のあるメーカー(例:Anker、Jackeryなど)
これらが不十分な製品は、次のようなリスクが高まります。
- 発熱しやすい
- 劣化が早い
- 最悪の場合、発煙・発火のリスク
価格だけで決めず、「長く安全に使えるかどうか」を必ずチェックしておきましょう。
③ 災害時に役立つ機能(あると安心な“+α”)
停電・避難所・車中泊など、災害時のシーンをイメージしながら、次の機能があるかどうかもチェックしてみてください。
- 複数ポート搭載(2台以上同時充電)
家族のスマホと自分のスマホを同時に充電できる - USB-C対応・急速充電(PDなど)
限られた時間でサッと充電できる - LEDライト付き
懐中電灯代わりに。停電時や夜間の避難時に便利 - ソーラー充電対応
完全にソーラーだけに頼るのは難しいものの、長期停電時の「延命用」として心強い - ワイヤレス充電対応
ケーブルが足りない・断線したときの保険になる
停電・避難所・車中泊など、災害時に本当に役立つ機能
実際に災害が起きた場面を想像すると、モバイルバッテリーには次のような役割が求められます。
- 家族分のスマホを維持できる容量と複数ポート
- 電気が復旧した短いタイミングで一気に充電できる急速充電(PD)
- 手元や足元を照らして安全を確保するLEDライト
- 長期戦になったときに電力を少しでも補えるソーラー充電
- ケーブルトラブルにも対応できるワイヤレス充電
これらの機能が組み合わさることで、「ただ充電できるだけ」ではなく、避難生活そのもののストレスを減らす電源として頼れる存在になります。
防災リュックに入れておきたい「おすすめ5タイプ」
① まず1台持ちたい標準モデル(10,000mAhクラス)
◆ こんな人におすすめ
- とりあえず1台、防災リュックに入れておきたい
- 普段の外出用モバイルバッテリーとしても使いたい
- 初めてモバイルバッテリーを買う
◆ 特徴
- モバイルバッテリーの定番ブランド・Ankerの10,000mAhクラス
- スマホを約2〜3回フル充電できる容量
- コンパクトで軽く、普段のカバンにも入れやすいサイズ感
- USB-C対応・急速充電対応モデルなら、普段使いでも満足度高め
◆ 防災でのイメージ
- 1人暮らしなら「メインバッテリー」として1台常備
- 家族なら、子どもやパートナー用に1台ずつ用意しておくのもおすすめ
② ソーラー&LEDライト付き 約13,000mAhクラス
◆ こんな人におすすめ
- 長時間の停電やインフラ復旧の遅れが心配
- キャンプ・アウトドアでも使いたい
- 懐中電灯も一緒に用意しておきたい
◆ 特徴
- 約13,000mAh前後で、スマホ3〜4回分の充電が目安
- 本体にソーラーパネルを搭載し、日中に少しずつ充電できる
- これ1台で「無限に電気が賄える」わけではないが、最後のひと押しの電力確保として優秀
- 強力なLEDライト内蔵モデルが多く、夜間の照明にも使える
◆ 防災でのイメージ
- 昼間は窓辺やベランダに置いてソーラー充電
- 夜は懐中電灯+スマホ充電として使用
- 防災リュックの「ライト枠」と「電源枠」を1台で兼ねるイメージ
③ ワイヤレス充電対応(MagSafe対応iPhone向け)
◆ こんな人におすすめ
- MagSafe対応iPhoneを使っている
- ケーブル管理が苦手・ケーブル忘れが心配
- 普段からワイヤレス充電をよく使う
◆ 特徴
- iPhoneの背面に“ピタッ”と付けるだけで充電できるワイヤレスモバイルバッテリー
- 多くのモデルがワイヤレス+有線(USB-Cなど)の両対応で、自分はワイヤレス・家族は有線という使い分けもできる
- 片手で持ちながら使えるため、停電中の暗い部屋でも扱いやすい
◆ 防災でのイメージ
- ケーブルを忘れた、断線したといったトラブル時の救済手段に
- 普段は通勤・通学やお出かけ用としてフル活用し、
「家に帰ったら決まった場所に戻す」運用にすると、防災リュックの中身も常に充電状態を保ちやすくなります。
④ 家族向け大容量 20,000mAhクラス
◆ こんな人におすすめ
- 家族のスマホをまとめて充電したい
- 避難所生活や車中泊も想定している
- 「とにかく容量が大きい1台」が欲しい
◆ 特徴
- 20,000mAhクラスで、スマホ約4〜5回分の充電が可能
- USB-A/USB-Cなどの複数ポート搭載モデルが多く、2〜3台同時充電にも対応
- USB PDなどの急速充電対応なら、充電時間の短縮にもつながる
◆ 防災でのイメージ
- 家族3〜4人で「共用バッテリー」として1台
- 「20,000mAhを1台+10,000mAhを1〜2台」という組み合わせにすると、
・家族で分けて持てる
・非常時のバックアップが増える
といったメリットがあります。
⑤ 小型ポータブル電源(Jackeryなど)
◆ こんな人におすすめ
- スマホだけでなく、ノートPCや小型家電も動かしたい
- 在宅避難・車中泊も想定している
- 防災だけでなく、キャンプやアウトドアでも使いたい
◆ 特徴
- 一般的なモバイルバッテリーよりさらに大容量
- ACコンセント・DC端子・USBポートなど、多彩な出力に対応
- ノートPCや小型の扇風機、LEDランタンなども動かせるモデルが多い
◆ 防災でのイメージ
- 停電時の“ミニ電源ステーション”として
- モバイルバッテリーをまとめて充電し、「電力のハブ」として活用
- 車がある家庭なら、車中泊避難+ポータブル電源で、かなり快適さが変わります。
防災用モバイルバッテリーの運用ポイント
① 年に1回は「フル充電+動作確認」
いざというときに使えなければ意味がありません。少なくとも次のタイミングではチェックしておきましょう。
- 少なくとも年に1回(防災の日など)は
・フル充電する
・スマホを1回充電して動作確認する
チェックを怠ると、
- いざ使おうとしたら劣化していた
- そもそもどこにしまったか忘れた
といった事態になりがちです。年に一度の“電源点検日”を決めておくと安心です。
② ケーブル類もセットで用意しておく
モバイルバッテリー本体だけでなく、次のケーブルも一緒にまとめておきましょう。
- USB-Cケーブル
- iPhone用Lightningケーブル(またはUSB-C)
- 余裕があれば予備ケーブルも1本
これらをポーチやジップ袋にまとめ、防災リュックの中でバラバラにならないようにしておくのがおすすめです。
③ 普段使いと兼用して「いつでも使える状態」に
防災グッズは「しまい込んで存在を忘れる」のが一番危険です。
- 普段は外出・旅行用として使う
- 家に帰ったら決まった場所に戻し、できれば充電しておく
この運用を習慣化することで、常に充電されていて、場所も把握できている“使える防災バッテリー”をキープできます。
まとめ:台数と役割分担で「うちの防災バッテリー構成」を決める
最後に、タイプごとの役割を整理しておきます。
- 10,000mAhクラス
→ 個人用・普段使い+非常時用に最適 - 20,000mAhクラス
→ 家族共用・避難所向けの“どっしりタイプ” - ソーラー&LED付きモデル
→ 長期停電や夜間の照明もカバー - ワイヤレス充電対応モデル
→ ケーブル不足・断線時の保険 - 小型ポータブル電源
→ 在宅避難・車中泊・PCや小型家電用として心強い
どの組み合わせが自分の家庭に合っているかを考える際は、次のポイントも一緒にチェックしてみてください。
- 家族の人数・スマホ台数
- 在宅避難が多いのか、避難所の可能性が高いのか
- ノートPCや小型家電まで動かしたいか
これらを踏まえて、あなたの家族にとってベストな「防災バッテリー構成」を準備しておけば、いざというときの不安をぐっと減らすことができます。